東日本大震災で亡くなられた方々の安置所に献花の寄贈に伺いました。
旧石巻青果花き卸売市場
気仙沼市大曲コミュニティセンターすぱーく
東松島市小野地区体育館
気仙沼市役所
「一輪の花もなく・・・」 報道で知った。 一万五千本の花をトラックに積み東京を発った。
宮城、岩手へと近づくにつれ、「救援」や「支援」と書かれた車が増える。
東北自動車道一関インターを降りると海岸方面へと車が連なる。
私たちのトラックだけが山道へと向かう。 そこに、最初に向かう遺体安置所がある。
棺が並ぶ・・・。 人々が線香に火を灯し、手を合わせる。周りに花を飾った。
チューリップやガーベラ、色とりどりの花々。
「これを1本いただけますか・・・」 オレンジ色のチューリップ。
白髪の女性が手に取った。 この春、小学校に入学するはずの孫を亡くしたという。
「みなさんの花です。ご自由にお持ち下さい」
そう書いたダンボール紙を立て掛けた。
「明かりが灯ったようだ」 そう言ってくれた人がいる。
いつの日か、この町に花が咲くことを祈っている。
一緒に行った友は言うだろう。
「こんな文章じゃ、万分の一も伝わらない」と。
私は安置所を巡った、あの時に覚えた事実を思い出せないでいる。
確かに写真が並べられていた。
身元のわからない人々の変わり果てた写真。
悲鳴のような泣き声が聞こえた。
私もあなたも目をそむけた。
私もあなたも花だけを見ていたのだから。
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